以前から皆様よりご要望の多かった、
インジェクションモデルのキャブレター化ですが、十分なテストが完了したため
すでに開始しています。実際に体感してもらえる試乗車もご用意しました。
キャブ化には賛否両論あり、極端な低アイドリングにはデメリットもありますので
当店でも今まで積極的に行うことはありませんでした。
ただ、どうしてもインジェクションモデルでもキャブのアイドリングと乗り味が
欲しいという、お客様からの強いご希望が多いのも事実です。
また、実際にキャブ化させていただいたお客様から、
”いやー、楽しいね!乗ってて面白くなったよ!”と非常に喜んでもらえますと、
これもひとつの選択肢として考えてもらえればいいのかなと思うようになりました。
YOU TUBEにアイドリングの動画をアップしました。
アイドリング回転数は約540回転から570回転付近で安定している状態です。
これはインジェクションではかなり厳しい数値です。
http://www.youtube.com/watch?v=O_XlZyz3II4
さて、2007年式以降のインジェクションモデルのコンピュータチューニングを
当店では毎日のように行っていますが、先ほども書きましたように、お客様から
ご要望が多いのが、
”キャブ車のような低い、できるだけ3拍子に近いアイドリングを出してほしい”
というものです。
お客様の求められているレベルにもよりますが、インジェクションの
チューニングではどの商品を使用しても、残念ながら、やはりこの点では
限界があると考えています。
左がご存知ミクニのHSR42キャブ キャブ(HSR42)を取り付けて
右が純正のインジェクションボディ。 みました。
(インエジェクションチューナーでの低アイドリングの限界)
具体的なインジェクションチューナーの商品別でいいますと、
①ツインテックでローアイドリング。
設定上は600回転まで下げる数値を入力できます。
ただし、ローアイドリングを続けていると、バッテリーの電圧が下がってくるのですが
ツインテックの場合、一定以下までバッテリー電圧が下がったことを感知すると
強制的にアイドリングを上げてバッテリー電圧を上げようとする機能が働いてしまいます。そのため、アイドリングを長く続けていると、エンジン回転数が上がったり下がったりを繰り返すようになり、落ち着かなくなることがあります。
お客さんによっては気にされる場合があるかと思います。
当店では750回転以上をおすすめしています。
②サンダーマックスでローアイドリング。
設定上は400回転まで入力できますが、実際には640回転くらいが
安定したアイドリングを出せる限界となります。
600回転以下になると、車両にもよりますがエンスト症状が多くみられます。
インジェクションチューナーの中では最もローアイドリングで安定しており
非常にかしこい商品だと思います。
ただ、あくまでも当店での過去4年間での取付実績からですが、
ダイナやソフテイル用の他のチューナーと比較して商品自体の故障率が
最近、少々高い気がするのが残念な点です。
(ただし、08年以降のツーリングモデル専用のサンダーマックスは非常に高い信頼性があり、おすすめできます。)
③スクリーミンイーグル純正スーパーチューナーやTTSマスターチューンなどを使用
してチューニングした、純正コンピューターでのローアイドリング。
そもそも設定上800回転までしかアイドリングを下げられないため、
ローアイドリングを期待されている方には向きません。
以上のように、あくまでも当店の考え方ですが、インジェクションコントローラー、
チューナーで極端なローアイドリング、3拍子用に完全におすすめできるものは
見当たらない気がします。
また、キャブレター仕様のハーレー(特にエボリューションモデルなど)に
乗り換えてしまうというのがローアイドリング・3拍子には一番確実な方法なのですが
そう簡単に大切な愛車を乗り換えるというのも難しいですよね。
次に、キャブ化した場合の特性などを述べていきます。
(アイドリングの打ち方・3拍子)
インジェクションモデルよりも安定したローアイドリング設定が可能です。
3拍子という点では、インジェクションチューニングよりも雰囲気は強くなります。
たいていの方には十分に楽しんでもらえると思います。
車両の状態にもよりますが、600回転弱のアイドリングでも
安定した拍子を打たすことができます。
インジェクションチューナーに見られるような、アクセルを戻しているのに
アイドリングがなかなか下がってこない、あるいは、アイドリング中に急に
エンジン回転数が上昇するなどの症状は出ません。
また、アイドル回転調整スクリューが付けられますので、
手動でお好きにアイドリングを上げたり、下げたりできるのもキャブ仕様の利点です。
電気系統的には非常にシンプルですので、トラブルは今のところ皆無です。
インジェクションにくらべて、信頼性が下がるということはないかと思います。
(始動性、走行性能)
少し慣れればエンジン始動は難しくありません。
走行性能は、使用するキャブにもよりますが、純正のインジェクションにくらべて
遅くなったという印象はありません。
私個人の感想では、ミクニのHSR42ですと、アクセルひねった時のドンという押し出し感は、インジェクションよりもむしろ強く体感できる感じがします。
(キャブ化後の馬力・トルク測定結果の例)
キャブ化 VS 純正インジェクション キャブ化 VS インジェクションチューニング
上のグラフは、
実際に当店でキャブ化していただいたお客様のトルクと馬力を
シャシダイナモで測定したものです。
(キャブ化 VS ノーマルインジェクション)
左側のグラフは、
赤線 2009年式FXDLの純正インジェクション状態のトルクと馬力曲線です。
青線 2008年式FXDBでキャブ化したものです。
トルク・馬力ともにキャブ化することで大きく向上しているのがわかります。
特に低速域でのトルクが大幅に改善しているのがわかります。
ノーマルインジェクション⇒51.35 馬力
キャブ化後 ⇒70.98 馬力
というように、馬力もほぼ20馬力アップしました。
(キャブ化 VS インジェクションチューニング)
右側のグラフは、
青線 2008年式FXDBをスクリーミンスーパーチューナーを使用して、当店で
インジェクションチューニングを行ったものです。
赤線 左のグラフと同様、2008年式FXDBをミクニのHSR42を使用して
キャブ化したものです。
マフラーはどちらもクロームワークスの2.5インチ、エアクリーナーは
スクリーミンのハイフローキットと、全く同じ仕様のバイク同士です。
厳密に言いますと、インジェクションとキャブではシャシーダイナモで
測定するときの方法が少し異なるのですが、
インジェクションチューニングしたものと、ほとんど馬力、トルクに差が
ないレベルになっているのがわかります。
キャブのパフォーマンスもなかなかですね!
(電装系システムなどへの影響)
キャブ化することでのデメリットももちろんあります。
下記の機能が使用できなくなります。
①オートクルーズ機能
②スピードメーターの6速マーク(インジケーター)の点灯。
*ただし、ミッションは勿論、メーターに悪影響はありません。
キャブ化にともない、スロットル開度センサーを使用しなくなり、
6速マーク点灯の情報がマップセンサーからの信号のみになるため、
点灯しにくい、または全く点灯しないという場合があります。
③ガソリンのエンプティ警告灯⇒ソフテイルは点灯しないことがあります。
*ダイナは正常に点灯します。
(手動式のガソリンコックを使用することになりますので、
ガソリンのリザーブ機能を使うことができ、突然のガス欠は防げます。
また、タンクキャップについている残量ゲージは正常に機能しますので
メーターのエンプティー警告灯の必要性はあまりないかと思います。)
その他では、キャブ化しても上記以外の電装系には影響はありません。
・純正セキュリティーシステム⇒正常に作動します。
・メーターのエンジンチェックランプ機能 ⇒正常に作動します。
(キャブ化後に、また元のインジェクションに戻す場合の費用)
万が一、純正のインジェクションに戻したくなった場合は、完全に戻すことが
できます。キャブ化した痕跡は残りません。
通常、インジェクションシステムへの戻し費用は総額で3万円程度になります。
(エアクリーナーの適合)
キャブの種類によらず、純正のインジェクション用エアクリーナーは取付できません。
ただし、ハイフローキットと併用すれば純正のエアクリーナーカバーは取付可能です。
:使用するキャブによるエアクリーナーの適合。
ミクニのHSRやケイヒンのCVキャブの場合。
⇒S&Sのエアクリーナーなど、たいていのインジェクション用エアクリーナーをそのまま移設することが可能です。
S&SのEキャブレーターの場合。
⇒キャブレターキットに専用のティアドロップエアクリーナーが付属されてきます。
純正インジェクション用のその他のエアクリーナーは移設できません。
(キャブ化することによるその他のメリット)
1.ガソリンタンクのカスタムがより簡単に、安くできる。
キャブ化することでガソリンタンク内のでっかいポンプが不要になりますので
ガソリンタンクのカスタムの自由度が非常に広がります。
特に、ミニタンクやスリムなタンクをつけたかったインジェクション車オーナーの
方にはおすすめです。
インジェクション用のカスタムタンクはほとんどないですよね。
2.マフラーやエアクリーナーを変更した際のチューニング費用が安い。
マフラーやエアクリーナーを交換、あるいはハイカムを入れるとなると、
インジェクションの場合、コンピューターの再チューニング費用が
かなりかかりますが、キャブの場合はそれほど大ががりな変更が必要ありませんので
再チューニングのコストが低くてすみます。
(キャブ化可能車種・年式)
・2006年~2011年式 ダイナ全車
・2006年~2010年式 ソフテイル全車(2011年モデルは不適合。)
・2006年~2007年式 ツーリングモデル全車(2008年~モデル不適合)
*スポーツスター系は今のところ当店ではキャブ作業を行っていませんが、
現在テスト中です。
(キャブ化 費用・部品代・工賃を含む総額です)
・ダイナ・ソフテイル(ロッカーを除く)⇒ ¥199,000 (税込)
・ツーリングモデル⇒¥225,000(税込)
・FXCW/C ロッカー⇒¥225,000~(税込)
*車両の状態により追加料金がかかる場合がありますので、事前に
よくご相談させていただき、正確なお見積りをお出しします。
*使用するキャブによって金額がことなる場合がありますので、
事前にご相談させていただきます。
*上記料金にはエアクリーナー本体の価格は含まれません。
ただし、キャブにも対応するエアクリーナーがついている場合は、
基本的にですがエアクリーナーの移設費用は追加でかかりません。
*使用するキャブがS&SのEキャブの場合は、S&S製のティアドロップ
エアクリーナーが付属します。(エアクリーナー代は別途かかりません。)
実際にインジェクションからキャブ仕様にカスタムしたデモ車をご用意しています。
エンジン音を聞いてもらうことは勿論、公道試乗してもらうこともできますので、
ぜひご来店ください。ちなみにキャブレターはミクニのHSR42を使用しています。
*カスタム中で試運転できない場合がまれにありますので、音を聞いてみたい
試乗したいという場合は、事前にお電話いただけると助かります。
*保険の関係上、試乗は21歳以上のお客様に限らせていただきます。
お問合せはどうぞお気軽に担当 店長の酒井までお電話ください。
キャブ化だけでなく、従来のインジェクションのコンピューターチューニングも
勿論毎日バリバリやっていますので、そちらのご質問もお気軽にどうぞ。
電話047-308-7520(AM10時半~19時半営業、火曜日定休です)