皆さんからご要望の多かったスポーツスターのキャブ化(インジェクションからキャブへの変更)
ですが、十分なテストが終了しましたので、開始させてもらいます。
とりあえず、現在までのテスト状況などレポートしたいと思います!
ちなみに、
ガソリンタンクは、インジェクション用の純正をそのまま使用することが可能です。
また、キャブ化することで、厄介なガソリンポンプがタンク内に不要となりますので、
ガソリンタンクカスタムの自由度が広がります。
小さなタンクをハイマウントで付けたいなど、タンクカスタムについてもお気軽にご相談ください。
使用するキャブレターは、純正のCVキャブとS&SのEキャブの2種類をご用意予定。
それぞれに持ち味がありますので詳細を述べていきたいと思います。
①純正ケイヒン CVキャブ仕様(ダイノジェットでのチューニング込み)
結論としては、
・アイドリングを下げたい方。
・ キャブ車独特の1発、1発の鼓動感を重視する方におすすめです!
(ローアイドリング)
CVキャブの利点は、何といいましても、低いアイドリング設定ができるということです。
だいたい600回転前後なら安定したアイドリングを打たせることができます。
元々キャブ車の04~06年式スポーツスターと同等です。
(3拍子)
883系はきれいに3拍子を打ちます。
1200系の場合は、エンジンの圧縮比が高いことが主な要因で、リズムはやや
2拍子に近い感じ(ドドッ、ドドッ、ドドッという感じ)に聞こえます。広い意味では3拍子ですが。
動画のバイクは当店のテスト車で、
2008年式の883を当店で1200化したものです。
1200の場合、こんな感じのリズムになります。883にくらべると劣ります。
883も動画がとれましたら、公開したいと思います。
最初は600回転~650回転くらいのアイドリングです。サンダーマックスなどのフルコンでいうと
600回転に設定した場合と同じです。
途中で540回転~590回転くらいまで下げてみました。
(パワー)
シャシーダイナモでの測定では、トルク、パワーともにまずまずです。
インジェクションのノーマル状態より20馬力アップくらいで、フルコンチューニングした
場合とほぼ同程度です。エアクリ、マフラーにもよりますが、
XL1200の場合、最高馬力は約70馬力です。
CVキャブのシャシダイナモでのパワーと空燃比の測定風景です。
マフラーは当店のワンオフのショート管にバッフルを少し入れたものです。
(乗り味)
アクセルを開けてから低速での加速感はまさに懐かしの旧車系です。(当たり前ですが)
インジェクションやレーシングキャブが、良く言えば吹け上がりが良い、
悪く言えば、エンジンの1発1発が感じられない”ビューン”という加速感に対して、
CVキャブは”ダッダッダッダッ!”という感じで、一発、一発の爆発がはっきりとしていて
ハーレーらしい味わいが楽しめます。
ダイノジェットでチューンすれば、それなりにキビキビと走ります。
負圧式キャブですので、アクセル操作に対する反応は敏感(ピーキー)ではありません。
加速感ではS&Sにやや劣りますが、キャブに慣れていない方にも乗りやすく、
長距離を走った時に疲れないというのも良い点があります。
(エアクリーナー)
純正のインジェクション用エアクリーナーは基本的に使用できません。
純正のカバーをそのまま流用するハイフローキット、または、社外のCVキャブ適合の
エアクリーナーが必要になります。
ただし、S&Sのインジェクション用エアクリーナーキットなどはそのままCVキャブにも流用が
できます。
以上、CVキャブについてでした。 次にもうひとつのキャブ S&SのEキャブの説明です。
②S&S Eキャブレター 仕様
こちらは、ドッカンドッカン走りたい方には最高です。
また、定番のティアドロップのエアクリーナーがキットに含まれるので、その点でお得です。
(ローアイドリング)
CVキャブほどは落とせません。だいたい700~750回転くらいが具合がよい限界かと
思います。(もちろん、純正インジェクションの1000回転にくらべればずっと低いですが)
S&Sでのアイドリング風景です。
(3拍子)
CVキャブにくらべると、リズムの安定感は劣ります。
(パワー)
CVに比べ、最高馬力は多少高くなり1200スポーツで 約75馬力です。
4速ロールオンという計測方式ではあまりCVとの差が現れませんが、
実際の走行状況でのCVとのパワーの違いは数値以上に体感していただけます。
S&S E キャブの シャシダイナモでのチューニング、パワー測定風景です。
(乗り味)
アスセルをガバッと開けた時のトルクの太さはさすがEキャブという感じです。ドカンときます。
アクセル操作への反応が非常に良いのも特長で、ついつい、前の車をバシバシ追い越して
行きたくなる加速感です。
逆に言いますと、ピーキーな特性ですので長距離は人によっては疲れるかもしれません。
(エアクリーナー)
キャブのキットにティアドロップメッキエアクリーナーキットが付属されます。
ブラックにペイントもできますのでご相談ください。
ただし、インジェクション用のS&S製のエアクリーナーキットは適合しません。
次に、
(キャブ化によってなくなる機能) についてです。
CVキャブでも、S&Sでも同じで、ひとつだけあります。
・スピードメーター内のガソリン警告灯がつかなくなります。
ガソリンコックにリザーブ機能がつきますので、純正キャブスポーツスターと同じ状態です。
特に使いにくくなるということはないかと思います。
それ以外は、当店でのキャブ化の場合、失われる機能はありません。
例えば、
・純正セキュリテイー⇒ 今までどおり使えます。
・エンジンチェックランプ機構 ⇒ 今までどおり使えます。
(当店でのキャブ化で気を使った部分)
これは、当店のビッグツインのキャブ化も同じですが、スポーツスターのキャブ化も
純正の配線、電装系を中心にほとんど加工することなくキャブを取付するということに気を
つかいました。
何らかの理由でインジェクションに戻す場合も完全に元の状態に戻せるためと、
配線を加工することによるトラブルのリスクを避けるため、このようにしています。
CVキャブ、S&Sキャブともに、配線の加工はほとんどありません。
ほぼ、ボルトオン、カプラーインで作業を行います。
その他、キャブ化に伴うデメリットも場合によってはありますので、詳細はお電話で
担当の 店長 酒井 あてまで お気軽にお問合せください。
長々となりましたが、予定金額は
①CVキャブレター仕様(ダイノジェットチューニング込)
20007年式~2012年式のXL(XR系は除く、以下もXRは除きます。)
総額 ¥228,000円(税込)
②S&S Eキャブレター仕様
20007年式~2012年式のXL(XR系は除く、以下もXRは除きます。)
総額 ¥228,000円(税込)
*XR系の車両には作業しておりません。
*バイクの状態によって、金額がことなる場合があります。作業前に確認させて頂きます。
*ビッグツインよりも割高になるのは、コイルをビッグツイン用に交換するなど必要部品が
多くなるためです。
最後に、番外編・
HSR42キャブ
個人的には好きなキャブレーターですが、残\ながら2つの理由で今のところですが
通常メニューからははずしました。
①取付時の干渉の問題。
インエジェクションのスポーツスターの場合、大変な量の配線がタンク下を通っていて
それを保護、隠すためにプラスチックのカバーでおおわれているのですが、
HSRの場合、この保護プラスチックにキャブの頭が当たってしまうという問題が起こります。
これを解消するためには、プラスチック部を加工するか、取り外す必要があり、その後の
配線処理も必要になります。
当店でのキャブ化は、万が一インジェクションに戻す時のことと、電装系トラブルのリスクを考えて、
ほとんど配線類の加工、変更をしないことを重視していますので、この点でHSRは通常メニュー
からはずしました。
配線の大がかりなカスタムまで行うなら、HSRもありなのですが、コストがかかります。
もちろん、タンクも純正からカスタムタンクに交換して、がっつりやりたいという方なら
HSRも取付できますので、ご相談ください!
②スロットルケーブルの取回しの問題。
スロットルケーブルはご存じのように、通常スロットル部から、車体右側を通って、
キャブやインジェクションのボディにおさまります。
これに対して、HSRの場合、構造上スロットルケーブルを車体左側に一度まわしてから
キャブにおさめなければなりません。
もちろん、これは個人の好みの問題なのですが、お客様によっては
ビジュアル的に好まれない傾向がありますので、とりあえず通常メニューからはずしました。
以上、長くなりましたが、お気軽にお問合せください!