当店に皆様から寄せらる、よくあるご質問についての最終回。
今回はフルコンピューターチューニングの代表各、純正コンピューターの書き換え方式です。
アメリカでの実績が豊富で、信頼性が確立されている商品としては、
・ハーレー現純正商品。スクリーミンイーグル・スーパーチューナー
・ハーレー元純正商品。TTS社のマスターチューン(スクリーミンイーグル・レースチューナー)
があげられるかと思います。
皆様から最も多いご質問からですが、
(ご質問 1)
スーパーチューナーとマスターチューンの違いは何ですか?
(ご回答)
極論すれば、同じ商品です。
それは、両者の商品の生い立ちからわかります。
マスターチューンは元々、ハーレー純正商品 スクリーミンイーグル・レースチューナーという
商品でした。
マスターチューンのメーカーである、アメリカTTS社からハーレーにOEM供給されていたもので、
契約期間の終了とともに、TTS社が自社製品としてマスターチューンと名前を変えて現在販売
しているものになります。
同時にハーレー社は、レースチューナーのシステムをベースにソフトをオリジナルに変更して
スーパーチューナーという純正商品を販売することになります。
両者は、チューニング方法、セッティングの項目などすべてにわたって非常に似ています。
専門的な細かな違いはもちろんありますが、性能、信頼性という点では、同じものとなります。
左・スーパーチューナーのチューニング画面の一部。右がマスターチューンです。
では、どちらを選べば良いのかということになりますが、
スーパーチューナーのみしかまだ対応していない、上記のモデルは別としまして、
どちらの商品でもよいのですが、あえて言いますと、
①スーパーチューナーをおすすめのお客様。
*純正が好き。
*ディーラーさんへの出入りが多く、そこでコンピューターのメンテンナンスを良く受けられる
方。(一概には言えませんが、純正のスーパーチューナーでチューニングしているほうが
ディーラーさんにはうけが良いかもしれません。
②マスターチューンをおすすめのお客様
*同じ性能ならコストの安いほうが良い方。
スーパーチューナーのほうが、商品代そのものが高いためです。
となります。
(ご質問2)
交換式のフルコンチューニング(サンダーマックスやツインテック)との違いは?
これは、長くなります・・・・・・。
(ご回答)
まず、システムが違う。
サンダーマックスやツインテックのシステム⇒ワイドバンドシステム。
純正コンピューターのシステム⇒ナローバンドシステム。
となります。ワイドとかナローってなんじゃ?といいますと、
ワイドバンドシステム⇒ワイドバンド02センサー(酸素センサー)というものがシステムに
使用されていて、走行全般の領域で02センサーの補正が入る、または入れられるもの
となります。この02センサーの制御が入った状態のことをクローズドループと呼びます。
ナローバンドシステム⇒ナローバンドの02センサーが使用されるシステムです。
ワドバンドにくらべて測定できる空燃比が限られており、走行の一部の領域でのみ
02センサーの補正が入るものとなります。
02センサーの補正が入れられない領域としては、アクセルを大きくあけて高回転に
加速していくなどの状態があげられます。
このような領域ではあらかじめコンピューターに入力されている固定データで制御される
ことになります。
この02センサー制御の入らない状態をオープンループと呼びます。
ワイドバンドシステム⇒常にクローズドループ(あえてオープンにすることもできます。)
ナローバンドシステム⇒クローズドループとオープループの併用。
ということになります。
(それぞれの特長・メリット・デメリット)
交換式フルコンの長所。
1.セッティングが比較的容易。車両の仕様変化に対して適応力が高い。
・交換式のフルコンピューターの場合、02センサー制御が全般にわたるため
チューニングが比較的出しやすいというメリットがあります。
・セッティングに多少のずれがあっても、それなり走行してくれるます。
特に、サンダーマックスの自己補正能力には高いものがあります。
・マラフーやエアクリーナーを交換した場合などでも補正能力が高いため
再チューニングの手間が比較的少なくすむ場合があります。
・回転数の低いアイドリングも可能。
800回転以下のアイドリングが基本的に可能です。
(純正の回転数は1000回転。純正書き換え式のチューナーの下限は800回転となります。)
特にサンダーマックスの場合、車種や年式にもよりますが、
ローアイドリングでの安定性に高いものがあります。
逆に短所は、
・一般的にコストが高い。
コンピューターのハードそのものが必要なため、商品代が高くなります。
・純正の状態に戻すのに手間がかかる。
その他にも多少ありますが、使用する年式・モデル、商品そのものによって
細かく異なりますので、詳しいお話が聞きたい方はどうぞご来店ください。
(純正書き換え式の特長、メリット・デメリット)
長所としては、やはり故障率の少なさがあります。
データを書き換えしても、純正コンピューター自体の信頼性を損なうことは全くありませんので
純正コンピューターそのものが壊れない限り、トラブルは起こりません。
純正コンピューターがまったく壊れないわけではありませんが、故障率がかなり低いことは
立証されていると思います。
・純正の状態に戻すのが簡単。
車体をイジることがないため、データーの入替だけで純正状態に戻すことができます。
・的確にセッティングを行えば、極めて正確なセッティングが可能。
・交換式にくらべて、一般的にコストが低い。
逆に短所は、
・セッティングを出すのが難しい。これにつきると思います。
これは純正コンピューターの場合、前述のように
02センサーの補正範囲に限界があるため、交換式フルコンよりも正確な数値が
コンピューターに入力されていないと、自分でセッティングを補正することができないためです。
・ベースデーターに良いものがない。
スーパーチューナーやマスターチューンのソフトには、
この仕様のバイクにはこのデータを入れればいいよ、というベ-スデータというものが
用意されています。
(これも、あくまでも当店での実績からの勝手な意見で叱られるかもしれませんが)
しかし、特に、スーパーチューナーのベースデータでそのまま使用して良い結果が
えられたことが当店ではありません。
マスターチューンの場合、スーパーチューナーよりも良いベースデータがありますが
やはりダメなものもあります。
ベースデーターはやはりあくまでもベースとなるデータでしかなく、
チューニングでそれを煮詰める作業が必要であると言えます。
*アイドリング回転数を落とすと、アイドリングが不安定になる。エンストする。
*ギクシャクした走りになる。あるいは、走りが純正より遅くなった感じがする。
(実際に遅くなる場合があります。)
*アクセルの反応が純正よりもむしろ悪くなってしまう。
ベースデータを正確に修正せずに使用した時にお客様が感じられる、典型的な症状です。
しかし、それ以上に問題なのは、体感的には良くなったとお客様が感じても
空燃比の面からみると、非常にエンジンにとって危険な状態になることがある、という点です。
当店でのテストでは、ベースデータによっては、エンジン高回転時にガソリン濃度が
一時的に非常に薄くなってしまう危ないものがみられることが確認できています。
逆に濃すぎるため、むやみな燃費悪化の原因や走りが鈍くなるものもあります。
後にも述べますが、ベースデータをそのまま使用することは避け、シャシダイナモで
実際にバイクを走行させながら、的確にデータを修正するという作業が非常に重要になります。
青の線がベースデーターそのままでの空燃比。アクセル開度25%での数値ですが
濃すぎる上に、乱れが大きくなっています。
赤線が当店で、ベースデーターに修正を行った空燃比。適正で安定した状態になっています。
・バイクの仕様変更への自己対応能力が低い。
例えば、マフラーやエアクリーナーがセッティングを出した時のものと似ているものであれば
それほど問題でもないのですが、大きく性質が異なるものに変更した場合は、セッティングの
ズレが出てしまいます。
また、そのズレを直すためには、手間とコストがかかります。
(ご質問 3)
シャシダイナモでセッティングしたほうが良いの?
シャシダイナモを使用したセッティングで最も大きなメリットは、
”走行中の空燃比をリアルタイムで正確に測定・確認できる”ということだと思います。
これによって、エンジンにとって危険なセッティング領域がないかということが
目に見える形で確認することができます。
セッティングする側からしても、安心してお客様にバイクをお渡しできます。
逆にデメリットとしては、コストがかかる。時間がかかるということが言えると思います。
次に、そもそもシャシダイナモを使用して何をやっているかと言いますと、
当店の場合はですが、
①走行中のガソリンと空気の濃度(空燃比)を高性度に測定している。
②測定によってずれている箇所のデータを人間が手打ちで修正する。
③この作業を繰り返して、理想的な燃料噴射データを作成する。
④走行中のトルク、馬力の状態を測定する。谷があればそれを修正する。
⑤点火タイミングの調整を行う。
⑥実際の公道走行の状態(路面抵抗や坂道走行、2人乗り走行など)を想定して、
シャシダイナモに様々な負荷をかけて、修正をかける。などです。
これを真面目にやりますと、非常に精度の良い、安全なデーターを作成することができます。
逆にいいますと、非常に手間のかかる作業になりますので
金額がどうしても高くなってしまうというデメリットがあります。
また、シャシダイナモを使いこなすには、豊富な経験と知識が必要になります。
それでも、当店が1台、1台シャシダイナモでのセッティングにこだわるのは、
正確で危険でないと言い切れるチューニングを行うには必要不可欠だと考えているためです。
(ご質問 4)
スーパーチューナーやマスターチューン以外の純正チューニングはやらないの?
純正コンピューターの書換え方式のチューニング商品は他にも数種類あります。
ダイノジェット社のパワービジョンはすでに作業させていただいています。
ダイレクトリンクもすでにテスト済みです。
今後、皆さんからのご要望が多くなってくるようなら作業を開始していきたいと思います。
今のところ、全ての面で突出して良いという商品はまだないというのが私の考え方で
できる限り様々なチューニング商品を扱いたいと思っています。
それぞれの特長を理解したうえで、お客様に応じて最適な商品を選んでもらえれば良いと
考えています。
(ご質問 5)
(交換式のフルコンにくらべて、パワーの面ではどうなの?)
正確にセッティングを行えば、純正書き換えでも、交換式のフルコン商品でも
パワー的にはほぼ同じと言ってよいかと思います。
(ご質問 6)
純正セッティングのデータだけ売ってくれないの?
特に遠方の方から、ご相談が多い内容ですが、
大変申し訳ございませんが、データのみの販売はしておりません。
当店では、おそらく、皆様が取付している、たいていのマフラー、エアクリーナーでの
シャシダイナモチューニングを行ったデーターを持っていると思います。
おそらく、そのデータのみをコンピューターに流し込むだけでも、それなりの精度は
出ると思います。
しかし、前述のように、実際にバイクを走らせて危険個所がないかの確認がとれないという
ことでは、安心してバイクに乗ってもらうことができません。
そのため、データーのみのご販売は行わないようにしております。
(ご質問7)
他店様で取付したスーパーチューナーの再セッティングはしてくれるの?
よくご相談したうえ、お受けできる条件がありますが基本的に可能です。
ただし、他店様のチューニングに関して、ここのデータがずれているとか、
間違っているといったような元のデーターの分析結果を
当店からお客様にお伝えすることはしておりません。
あくまでも、他店様のデーター修正としてではなく、当店のやり方で最初から
チューニングをかけるというスタンスで作業を行わせてもらっています。
また再チューニングを基本的にお受けできない場合の例としては、
*エンジンに手が入れられている。ということがあります。
例えば、排気量をアップしている、カムを変えている場合などです。
カスタムエンジンのチューニングは当店でエンジン作業をさせていただいた場合に
限らせてもらっています。
以上長くなりましたが、よくわからない点がありましたら、お気軽にお問合せください。