前回につづきアメリカ・インジェクションチューニング研修のつづきです。
走行不調のダイナのチューニングが終了し、
休む暇なく、次は2007年式FLHTCのチューニングにとりかかります。
チューニングに使用するソフトは、ダイナと同じく
ハーレー純正・スクリーミンイーグル プロ スーパーチューナーです。
②2007年式 FLHTC
排気量 103キュービックインチ(1690cc)
・シリンダーヘッド T-MAN STAGE-3
・カム TR590
・インジェクター 58MM スクリーミンスロットルボディ+スクリーミンインジェクター
・エアクリーナー zipper’s performance ハイフロー
・マフラー RINEHART-BUB SLIP-ON
・エキパイ バンス&ハインズ独立エキパイ
上の仕様を見ていただいてわかるように、T-MANのヘッドやカムを使用し
エンジンはかなりハイスペックなものとなっています。
まずは、かつて小磯さんがチューニングしたこの車両とかなり仕様の近かったバイクの
データーをベースラインとしてコンピュータにインストールしたのち、多少の修正を加えて
馬力・トルクなどを計測します。
やはり、これくらいのバイク仕様になると凄いです。
この時点ですでに101馬力・最高トルク 136N-Mを記録。
しかし、先生はこれくらいでは許してくれません。
さらにここからセットアップを煮詰める作業がはじまります。
ターゲットとする空燃比に実際の空燃比を一致させるため、前後シリンダーそれぞれの
VE(空気の充填効率)数値をビシバシ測定・調整していきます。
さらにキャブでいうと加速ポンプ量にあたる燃料の増量、逆に燃料の絞込みなど
その他の様々な要素も調整していきますが、このあたりはマニュアルにも書かれていない
小磯さんのオリジナルテクニックが満載なためモザイク連発になることをお許し下さい。
ちなみに、これら一連の作業を行うためにはシャシーダイナモという測定器の上で
バイクを走らせることが必要不可欠となります。
なぜなら、走行・測定・パソコンでデーターの修正ということを何度も繰り返す必要があるためと、
VE測定のためには、比較的簡単なスマートチューンというオートチューン機能を使用しても
データーをコンピューターに認識させるためには、少なくとも10秒くらいスロットル開度を
キープし続ける必要があるからです。
あらゆる速度域でアクセル開度を10秒もキープし続けるのは公道ではかなり困難と言えます。
しかも、アクセル全開域でのVEの測定・調整となるとシャシーダイナモ上での
バイクの速度は、ノーマルエンジンでも180~200キロくらいまで達します。
公道200キロ走行では加藤茶みたく逮捕です。
さて、話を講習に戻しますと
先生の調整作業が完了し、いよいよチューニング後の馬力・トルク測定です。
赤い線がベースデーターにある程度修正を加えたものです。
青い線がさらにチューニングを煮詰めたもの。
最高馬力は 110馬力を達成! 最高トルクはなんと146NーMです。
このバイクの場合、かなりホットなカムを使用しているため、低速よりも中高速での
伸びが顕著になります。
ちなみに、皆さんがよく目にされるこの馬力とトルクの測定表ですが、
4速ギヤでのロールオンという測定方法で、馬力・トルク比較のひとつの
基準となるものです。
ギヤを4速にいれた状態でアイドリングからアクセル全開で一気にレブリミットまで
まわした時のトルクと馬力の数値を測定します。
ですので、このデーターがバイクの走行性能を全てを表しているわけでは
勿論ありません。
正しいチューニングが施された場合、この表の変化以上に、
体感的にはチューニング前との差が感じていただけることが多くなります。
というわけで、100馬力オーバーのチューニング講習でした。
アメリカ研修はもう少しつづきます・・・・・。
昼間の講習会のあとは、夜の勉強会。
不夜城ラスベガスの街にくりだしました。 当然のごとく、夜通しのカジノで全員大負け。