千葉県松戸市のハーレーカスタムショップ・ライトサイクルです。
ご存じのように、2007年式モデルからハーレーはキャブモデルがなくなり、
全車インジェクションモデルへと移行しました。
それとともに、以前のキャブレターチューニングに代わり、インジェクションのチューニング
という作業がハーレーでも本格的に必要な状況となっています。
当店では2007年からインジェクションモデルのコンピューターチューニングを開始し、
現在まで多数の作業を行わせていただいてきましたが、そういうこともあってか、
全国からインジェクションチューニングに関するお問合せが非常に多くなってきております。
例えば、
”マフラーを交換したいんだけども、なんか、コンピューターのチューニングも同時に
必要とか聞いたんだけど、意味がよくわからないのですが、、、、?”
お客様から当店によくお問い合わせいただく内容の一例です。
たしかに、コンピューターチューニングとかインジェクションのチューニングというものは
目に見えにくいものなので、何だかよくわかりません。
そこで、この機会に皆様から特にチューニングに関するお問合せの多いご質問に対しての
ご回答を、まとめてみることにしました。 みなさんのご参考になれば幸いです。!
全体的にかなり理屈っぽい内容なので、読むのが面倒な方はどうぞ直接ご来店いただくか、
どうぞお電話ください。
*これから述べます内容に関しましては、あくまでも私個人、当店の実績・経験からの
ものです。他のショップ様、メーカー様では見解が異なることが当然あるかと思いますが
それらを否定するものでは全くありませんので、ご理解頂けると幸いです。
内容が長くなりそうなので、3回に分けたいと思います。
今回の第1回目は
*インジェクションチューニング基礎編~簡易的チューニング、サブコンについて
次回の2回目は
*交換式フルコン(フルコンピュータ)について(サンダーマックス編)
第3回は
*純正コンピューター書き換えフルコンについて
(スクリーミンスーパーチューナー、マスターチューン、パワービジョン編)
前置きがながくなりましたが、本題に入ります。
インジェクションチューニング よくあるご質問 その1
*インジェクションチューニング基礎編~簡易的チューニング、サブコンについて
(よくあるご質問)
(ご質問1)
そもそも、インジェクションのチューニングとかコンピューターチューニングってなに?
(回答)
ハーレーのインジェクションモデルにはコンピューター(ECM)が備わっています。
このコンピューターによって、ガソリンのエンジンへの噴射量、アイドリング回転数、
点火タイミングなど、走行に重要な要素が決定、指示されるようになっています。
手に持っているのが、純正のコンピューター・ECMです。車種年式によって車体への設置場所や
形状は異なります。ちなみに、この車両・09ツーリングモデルはサンダーマックスという
カスタム用のコンピューターに交換しています。純正ECMの下に見えるのがそれです。
新車の状態ですと、当然ですがノーマルのマフラーやエアクリーナー、
ノーマルエンジンの排気量、カムシャフトなどに合わせたデータが純正ECM(コンピューター)に
入っています。
この新車の状態が変更されたとき、つまりマフラーやエアクリーナーを変えた場合など
純正ドノーマル状態に合わせた元々のデータ内容ではズレが生じてしまいますので
それを適正に調整・変更していく作業のことになります。
(ご質問2)
どうして、チューニングが必要なのか?
(回答)
上に述べたように、純正コンピューターのデーターのままではズレが出てしまう場合、
例えばマフラーやエアクリーナーを変更した場合で考えますと、
基本的に、ガソリンの噴射量が足りない、ガソリンが薄い燃焼状態にエンジンが
なってしまいます。
このことにより、
・エンジンがオーバーヒート(過剰な熱をもつ)しやすくなり、エンジンの消耗が早まる。
・最悪の場合エンジン焼き付きの原因になる。
・トルクがなくなり特に低速でスカスカした走りになる。
・過剰なアフターファイアーが出る(マフラーからのパンパン音、いわゆるバックファイアー)
などの悪影響が出ることになります。
チューニングを行うことで、マフラーやエアクリーナーを変更した状態に合わせた
燃料噴射や点火タイミングなどにデータ修正をかけ、この悪影響を取り除くことが
本来必要になります。
(ご質問3)
チューニングを行うことのメリットは?
(回答)
・エンジンのオーバーヒートをやわらげ、エンジンを守る。
・馬力、トルクが向上する。
・過剰なアフターファイアーが減少する。(マフラーの種類により程度はあります)
一概にメリットとは言えませんが、商品によってはアイドリングを純正よりも
下げることができ、ハーレーらしい雰囲気を楽しめるという点もあります。
(ご質問4)
チューニングが不要なマフラーってあるの?
(回答)
基本的に、純正マフラーよりも音の大きなものでチューニングが全く不要なものはないと
言えると思います。
ただし、チューニングをしなくても悪影響が少ないものと、悪影響が大きいものという違いは
マフラーによって確かにあります。
簡単にいいますと、マフラー音量の小さなものほど悪影響が少なく、音量の大きなものほど
影響が大きいということになります。
大抵のマフラーの場合、チューニングを行わなくても走行不調を体感されることは少なく
すぐにエンジンが破損してしまうようなこともまずありません。
また、逆にマフラーやエアクリーナーを変更することで、ノーマルデーターのままでも
特にエンジン高回転域では、バイクのパワーが上がることも多くみられます。
しかし、たとえパワーが向上したとしても、程度に差はありますが決してエンジンにとって
良い状態でパワーが上がっているわけではないということが言えると思います。
マフラー(特にエアクリーナーもセットで交換する場合)は、やはり何がしかの
ガソリン噴射量対策(インジェクションチューニング)を行うことをおすすめします。
(ご質問 5)
エアクリーナーは変えたほうがいいの?
(回答)
もし、マフラーを変えてチューニングを行わないのであれば
吸い込み量が制限されている純正エアクリーナーのままのほうがリスクが少なくなります。
吸い込み量の多いエアクリーナーに変更しますと、ガソリンがさらに薄くなり
リスクが高くなります。
逆に、きちんと、特にフルコンチューニングを行うのであれば交換をおすすめしています。
マフラーにもよりますが、エアクリーナーを変えることで吸排気のバランスがとりやすく
なります。
また、中速から高速域でのパワー、加速感が向上するというメリットがあります。
(ご質問6)
2009年式以降のツーリングモデルの場合、エキゾーストパイプまで変えたほうが良いの?
(ご回答)
ご存知のように、2009年からツーリングモデルの場合、純正エキゾーストパイプに
触媒が入っている仕様になりました。(08年まではマフラー本体に触媒が入っています。)
この触媒による特徴は、
①エキパイ内の触媒によってマフラー音量がかなり小さくなり、歯切れが悪くなる。
(良く言えば、爆音にならない。高音部分が消されて落ち着いたマフラー音になる。)
②この触媒が排気抵抗となるため、最高馬力が頭打ちになってしまう。
③ローアイドリング時に排気ガスがこもってしまうため、不向き。
もし、お客様が、大きく、歯切れの良いマフラー音がご希望の場合は、エキパイを触媒の
入っていない社外品に交換することをおすすめしています。
また、最高馬力の向上、800回転を切るローアイドリングがご希望の場合も同じです。
低速トルクに関しては、エキパイを変えることでのメリットは特にありません。
また、当店で車検を受けていただく上ではエキパイの交換は何ら問題ではありません。
(エキパイは純正に戻すことなく車検に通せることができます。)
ただし、ディーラー様や他店様、ユーザー様自身での車検を前提とするなら、エキパイは
変えない方がコストや手間が少なくて済むかと思います。
(ご質問 7)
2007年式~最新の2014年モデルに対応するチューニング商品はあるの?
現在2007年式~2014年式まですべてのモデルに確実に対応するのは
ハーレー純正商品である、スクリーミンスーパーチューナーになります。
そのほかの商品はモデル、年式によって適合する場合と、現在開発中のものなど
日々状況が変わりますので、詳しくは直接お問あわせください。
(平成25年12月時点でのとうてんでの情報です。)
(ご質問8)
チューニング用の商品が色々とあるけれど違いがわからない。
(回答)
商品の違い、分かりにくいですよね。最近は特にいっぱいありますのでなおさらです。
ひとくちにチューニング商品といいましても、簡易的なものから高度なものまであります。
簡易的なものから順番をつけますと、
①エンリッチメントデバイス(エンリッチナー)
②サブコン(サブコンピューター)
③フルコン(フルコンピューター) 交換式と純正書き換え式があります。
といった感じかと思います。
まずは、簡易的なものから、
①のエンリッチメントデバイス(エンリッチナー)についてです。
アメリカ・ナイトライダー社製の、エンリッチメントデバイス(エンリッチナー)が有名です。
中身は簡単に言いますと、電気抵抗ということになります。
純正コンピューター内のデータは変わりませんが、このエンリッチナーを取付ることで
02センサーからの電流値が変化し、結果的にコンピューターは通常より濃いガソリンを
噴射することになります。
純正システムの場合、02センサーで制御されている領域では空燃比14.6という
数値になるようにコンピューターは燃料噴射指示を出しますが、エンリッチナーを
装着するとこれより濃い数値になる指示を出すようになります。
当店のテストでは、噴射量が純正データーに比例して濃くなることが確認できていますので
ガソリンが薄いために生じる、エンジンのオーバーヒートを緩和する効果は確認できています。
ただし、補正が入るのは純正コンピューターが02センサーからの情報によって
噴射量を制御している部分、いわゆるクローズドループの範囲に限ります。
お客様とお話していると、ハーレーのコンピューターは02センサーによって
常に補正が入っていると思われている方が多いのですが、実際には02センンサー制御は
一部のエンジン状態でしか作動していません。
これは、ハーレーの02センサー制御システムがナローバンドという非常に狭い範囲でしか
空燃比の測定ができないシステムをとっているために起こり、14,6前後というやや薄めの
空燃比制御しかできないためです。
例えば、アクセルを開けて高回転まで加速していく場合などは、空燃比14.6では
薄すぎるため、02センサーからの制御からははずれてしまいます。
このような状況では、02センサーからの情報は遮断され、コンピューター内にあらかじめ
インプットされた固定データで噴射量が決定される仕組みになっています。
この状態をオープンループと呼びます。
話が脱線しましたのでエンリッチナーに戻しますと、
あくまでも純正データーの02センサーが働く領域のみを濃くするだけですので、
実際にバイクの仕様にあったデーターリングを行うという高度な役割は果たしません。
当店のテスト結果ではトルクや馬力の向上は見られませんでした。
勿論、アイドリングを下げるようなこともできません。
あくまでもオーバーヒート緩和用の商品とご説明して当店ではお取付しています。
マフラーを変えて何もしないよりは、エンジンの負担を和らげてくれるので
チューニングを行わない場合おすすめです。
②サブコン(サブコンピューター)
有名なものでは、バンス&ハインズのフューエルパックなどがあります。
これも、純正コンピューター内のデータそのものを変化させるものではなく、
純正コンピューターに付属させることで、コンピューターから出てくる噴射指示が
サブコンを通ることによって変化させられるというものです。
おおざっぱに言えば、さきほどのエンリッチナーの少々発展版といえます。
サブコンの中には、例えばパワーコマンダーのように、ダイノジェットのシャシダイナモと
連動させることによって、より高度なチューニングが可能なものもありますが、
大抵の方の使い方としては、商品のの説明書に書かれている数字を入力したり、
ダイヤルを回したりする簡易的な方法がとられているかと思います。
(ちなみにパワーコマンダーのシャシダイナモ連動チューニングは良い結果がえられましたが
一般的にコストがかかるため、フルコンが主流の現在では、あえてこのチューニングを
行う意味が薄れてきた感じはします。)
当店では、これも基本的に、オーバーヒート対策用商品として考えています。
たまたまセティングがはまれば、馬力、トルクの向上もありえるとは思いますが
セッティングがずれる可能性がエンリッチナーよりも高いため、ずれが大きい場合
走行がノーマルより悪くなってしまうケースが時々見られます。
また、純正のシステムに追加して商品を取り付ける必要があるため、
スペースにあまり余裕のない車種の場合、サブコン本体のおさめどころに苦労します。
ちなみに、この商品もアイドリングを下げることはできません。
ひとまず、今回は以上です。
フルコンピューターの説明については、非常に長くなりますので、
次回から2回に分けて書いてみたいと思います!
インジェクションチューニング よくあるご質問 その2
*交換式フルコン(フルコンピュータ)について(サンダーマックス編)
リンク先は下記になります。
インジェクションチューニング よくあるご質問 その2
第3回は
*純正コンピューター書き換えフルコンについて
(スクリーミンスーパーチューナー、マスターチューン、パワービジョン編)
リンク先は下記になります。
インジェクションチューン よくあるご質問 その3
そのほか、過去のブログでもインジェクションチューニングに関するレポートをご紹介しています。
今回と内容のかぶる部分もありますが、よかったら読んでみてください。
また、過去の記事ですので、現在の状況と異なる点もあります。ご不明な点がありましたら
どうぞお電話でお問い合わせください。
チューニング関係の過去のブログへのリンク先は下記になります。
インジェクションチューンの難しさ その1
インジェクションチューンの難しさ その2
インジェクションチューンの難しさ その3
インジェクションチューンの難しさ 最終回
私たちのチューニングの先生、HIRO小磯さんのもとでの技術研修会の様子をご紹介しています。
米国インジェクションチューニング研修2009年 その1
米国インジェクションチューニング研修2009年 その2
米国インジェクションチューニング研修2009年 その3
米国インジェクションチューニング研修2009年 その4
米国インジェクションチューニング研修2009年 最終回
第2回米国インジェクションチューニング研修 2012年研修編
純正チューニング商品、スクリーミンイーグル・スーパーチューナーに関するレポートです。
スクリーミンイーグル・スーパーチューナー編(その1)
スクリーミンイーグル・スーパーチューナー編(その2)
スクリーミンイーグル・スーパーチューナー編(その3)
スクリーミンイーグル・スーパーチューナー編(最終回)
純正書換え式チューニング商品 マスターチューンに関するレポートです。
インジェクションチューナー”マスターチューン”の馬力・トルク測定)
マスターチューンによるインジェクションチューニング結果 (その2)
純正書換え式チューニング商品 パワービジョンに関するレポートです。
パワービジョンによるチューニングレポート
交換式フルコン・サンダーマックスに関するレポートです。エンジンカスタムもご紹介。
サンダーマックス作業レポート(08年式~13年式ツーリングモデル専用 2014年用は現在テスト中!)
S&S 1700cc ボアアップキット+サンダーマックスでチューニングご紹介。
そのほか
精密なインジェクションチューニングによる効果。ステージ2キット編。
2012年以降モデルのインジェクションチューンもやっています!
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