前回につづきアメリカ出張のレポートです。
シンシナティのV-TWINエキスポに参加してすぐに、アメリカを横断してロサンゼルスに入り
そのまま睡眠なしでラスベガスへと向かいました。みんな目が腫れて血走っています。
ラスベガスでは僕たちのインジェクションチューニングの先生であるHIRO小磯さんに
さらに専門的なシャシダナモの扱い方と斬新なチューニングのテクニックを伝授してもらいました。
今回はそのお話です。
今回のチューニング研修の会場は、小磯さんの新しい勤務先であるラスベガスのディーラー
RED ROCK HARLEY-DAVIDSONです。
ここも、ショールームから工場まで、とにかくどでかい規模のディーラーさんで、
やはりハーレーの本場アメリカを再認識させられます。
インジェクションチューニングに使用したバイクは ２０１１年式 FLHXSE2 CVO 110”です。
エンジンは純正、ラインハートの４”マフラー、触媒なしエキパイ、RSDのエアクリーナーという仕様。
インジェクションチューナーはハーレー純正のスクリーミン スーパーチューナーを使用します。
まずは小磯さんがバイクの仕様に最も近いスーパーチューナーのベースデーターを車体の
コンピューターに流し込み、シャシーダイナモで空燃比などのデーターを測定していきます。
小磯さんの測定の正確さとスピードはやはり尋常ではありません。
独自の斬新なテクニックを駆使し、このデータの問題点を洗い出していきます。
全く作業に無駄がありません。
次にベースデーターでは適切なセッティングになっていない領域を確認。
測定の結果、このデーターでは2000～2500回転のエンジン領域でガスが濃くなり過ぎ、
逆に3000～6000回転までの高回転域でガソリン濃度が薄すぎることがわかります。
専門的な話になってしまいますが、２００７年までのツーリングなど比較的以前のインジェクション
車両は、空燃比の制御がアクセルの開度とエンジン回転数によって制御されています。
これに対して、２００８年式以降のツーリングモデルなど近年のハーレーは空燃比の制御が
MAP（インテークマニホールドの負圧）とエンジン回転数によって制御される方式に変更されて
きています。
アクセルの開度とエンジン回転数ですと皆さんもイメージしやすいと思いますが、
マニホールドの負圧という目に見えないものになると分かりにくいかと思います。
実際、プロのメカニックでもマニホールド負圧を正確に体感だけでとらえることは難しく
シャシダイナモや高度な測定器のデーターに頼らざるを得ないことになります。
そのため、インジェクションチューニングにおいて、それらの機材の重要性が増している
ということが言えるかと思います。
チューニング研修に話を戻しますと、次に問題と思われるベースデータのマッピング部分を
修正する作業に入ります。
ここでは、チューナーによる手作業が必要になるため、経験と腕がものを言います。
小磯さんが素早くデーターを修正し、再度バイクをシャシダイナモ上で走らせながら
修正後の結果を測定します。
青い線が修正前の状態です。赤い線が修正後。上のグラフがエンジンのトルクと馬力表示。
下のグラフが空燃比です。
空燃比がこの領域のターゲットである１３．２にぴたりと修正され、それに伴いトルクと馬力が
改善されているのが分かります。
小磯さんからチューニングの技術的な部分の説明や質疑応答をしてもらい密度の濃い研修の
終了です。
シャイダイナモでのデーターだけで自己満足せず、乗り手であるオーナーさんの満足こそが
大事という小磯さんの言葉が研修テキストにありました。非常に印象に残りました・・・・。
小磯さんがボンネビルで打ち立てた世界最速タイトルの数々。その前で最後に記念撮影。
研修のあとも、ラスベガス行きつけの日本料理屋で小磯さんには遅くまで食事に付き合って
もらいました。貴重なお話、本当にありがとうございました！
また、今回の出張を様々な面でサポートしてくれたHRDのヒロ田村君はじめ皆さんに感謝します！
ラスベガスからロサンズルスに戻り、取引先の業者さん達と打合せと食事会ののち
そのまま日本へ。今回の出張も終了です。疲れましたが楽しかったです・・・・・。
（おまけ）
最近、日本導入が発表されたNEWモデル2車種が
RED ROCKさんに展示されていましたので撮影してきました。
XL1200V SEVENTY-TWO（セブンティツー） です。
FLS SOFTAIL SLIM （ソフテイル スリム）
